結婚は、出会いやタイミングが大切です。結婚したいと思って過ごしていても、機会を逃して年齢を重ねてしまいうこともあるでしょう。それでは、いったい何歳ごろになると結婚を諦める人が増えるのでしょうか。この記事では、結婚を諦める年齢や、結婚しない選択をした場合に一人で生きていくための準備について紹介していきます。
女性・男性が結婚を諦めるのは何歳くらいから?
女性は36歳以降の年齢になると、結婚を諦め始める人が増えるといわれています。その理由の1つといわれているのが、妊娠や出産時のリスクが上がることです。「結婚したら子どもが欲しい」という思いで結婚を考えていた人にとって、妊娠や出産が難しくなることは結婚を諦める理由になりえます。結婚への思いが変化し、結婚の形や目的について考えを新たにする年齢なのではないでしょうか。妊娠に適した年齢は一般的に25~35歳前後とされています。
年齢にかかわらず、出産にはリスクが伴うものですが、高年初産婦の場合はそのリスクがさらに高くなるわけです。女性の場合は、結婚と出産が密接に結びついている場合が多いため、身体的な観点から結婚を諦める人が増加します。
一方、男性の場合は、「子どもを育て上げるために十分な収入を得られるかどうか」という観点から、40歳以降で結婚を諦めるケースが増えます。例えば、40歳で結婚し41歳で子どもが生まれたと仮定すると、子どもが成人するときに父親は61歳です。2019年の調査によると、子どもの大学・短大への現役進学率は54.8%なので、これから結婚する人は将来的に子どもが大学に進学すると考えておいたほうが良いでしょう。41歳で父親になった人は、子どもが大学に進学して社会に出る22歳ごろには63歳です。この例は、結婚してすぐに子どもができ、子どもが浪人や留年をすることなく進学、卒業した場合なので、これ以上に月日がかかる可能性は十分に考えられます。
何より、結婚したからといって、すぐに子どもに恵まれるかどうかは分かりません。また、子どもがどのような進路を進むかも、そのときにならないと分かりません。大学には、進学しないかもしれませんが、留学する可能性もあります。「働きざかりのうちに結婚して子どもをもうけたい」と思っていた人が、40歳を超えるころから考えが変わり始めるのはこうした理由からだと考えられます。加えて、40歳というのは自身の体調の衰えを感じ始める時期でもあります。子どもが社会に出る60歳半ばまで自分が健康でいられるかどうかに自信が持てず、結婚を諦めるという人も多いでしょう。
どうすれば前向きに諦められる?
これまで「結婚したい」という思いで過ごしてきた人にとって、「結婚を諦める」ことは後ろ向きな決断に思えるかもしれません。しかし、観点を変えてこれからの生活を設計しなおし、前向きな決断に変えることは可能です。例えば、結婚にあたって新居を借りたり、家具を購入したりするにはどれぐらいの費用が必要かご存じでしょうか。引っ越し費用代や敷金礼金など、さまざまな費用が必要なことを考えると、 条件によって金額は異なりますが、最低でも100万円程度は用意しておいたほうが良いでしょう。もし新居を購入するなら、もっと多額の費用がかかります。
結婚しないことによって、こうしたお金が発生せず、今まで通り自分のやりたいように生活ができるというのは1つのメリットです。結婚すると、起床時間や見たいテレビ番組の選択、食事の内容にいたるまで、すべてを自分の好きなようにするわけにはいかなくなります。子どもが生まれるとなおのこと、自分だけの自由時間は減るでしょう。それまで自由に使ってきた給料は家計の費用になり、お小遣い制になるかもしれません。趣味を楽しんだり、友人と遊びに行ったりするのにも制限がかかるのは仕方のないことです。
一方で、結婚しないという選択をすれば、自分のお金と時間を自分のために使うことができます。結婚した相手の機嫌をうかがったり、気が進まないことを我慢したりする必要もありません。また、結婚しない人が増えていることも「結婚しない選択」の後押しになるのではないでしょうか。2015年時点で「50歳時の未婚割合」を調査したデータによると、男性の23.4%、女性の14.1%が未婚です。1970年の同データでは、男性は1.7%、女性は3.3%だったことを踏まえると、結婚しない人が大幅に増加していることが分かるでしょう。「結婚するのが当たり前」とされていた時代は過ぎ、結婚しない選択を尊重する時代へ変化していると考えられます。
最後に考えておきたいのが、離婚についての問題です。結婚しても3組に1組は離婚しているといわれています。日本の離婚率は、世界各国と比べて極端に高いわけではありません。また、2002年ごろをピークに、近年は離婚する夫婦の数が減少傾向にあるといわれています。しかし、そんな中でも全体の離婚件数における40代以降の割合は増えているのです。結婚しても3組に1組は離婚しているもちろん、定年後に離婚する「熟年離婚」も含まれますが、40代を目前に、または40歳を超えて結婚しようとする場合には気になる数字ではないでしょうか。
「離婚することは、結婚することの何倍も大変だ」といわれますが、そもそも結婚しない選択をすれば、「せっかく結婚したのに離婚した」という事態を免れることができます。結婚しないことにもメリットがあることを考えれば、前向きな気持ちになれそうです。
そもそも一人でいることは良くないことなの?
「結婚できない」と「結婚しない」は異なります。前者は、結婚したい気持ちがあるにもかかわらず、相手がいなかったり収入の問題や家庭の事情があったりして結婚していない状態です。後者は、自ら結婚しないという生き方を選んだ場合を指します。「結婚できない」と考えている人にとって、結婚せずに一人でいることは好ましくないことかもしれません。しかし、「結婚しない」と決めている人には、決して悪いことではないでしょう。人によって人生のゴールを結婚に定めている人もいれば、そうでない人もいます。結婚が良いことかどうかは人によって違うのです。
また、結婚をしても一定の割合で離婚する人がいることを考えると、「結婚=良い」ことだとは必ずしもいえません。ならなら、結婚は楽しいことばかりではなく、大変な思いや辛い思いをする人も多くいるからです。結婚しないことによるマイナス点には「周囲の声」という問題もあります。家族や親戚、上司などから結婚について聞かれて、嫌な思いをした人もいるかもしれません。先ほど紹介した「50歳時の未婚割合」の調査では、男性の23.4%、女性の14.1%が未婚であるということが分かります。裏を返せば、結婚している人が男性で約80%近く、女性で約75%いるということでもあります。
未婚率は以前に比べて大幅に増加していますが、それでも結婚することがスタンダードとなっているのが現状です。こうした状況では、結婚しないことが周囲からネガティブに思われることもあるでしょう。結婚に対する判断は人によって異なります。周囲の声を聞きながら、自分がどのように生きていきたいかをよく考え、結婚するか、しないかを自分の意志で決めることが、自分にとって最も価値のある判断となるでしょう。
一人で生きることを決めた時にやるべきことは?
自ら「結婚しない」という選択をし、一人で生きていくことを決めたら、将来の生活を考え、さまざまな準備を始めましょう。最も大切なのは、お金の問題です。結婚をしたり子どもをもうけていたりすると、否が応でも将来のお金について考える機会がありますが、結婚しない場合は改めてお金について考える機会が意外とないものです。働いているうちはよいですが、老後の資金はどれぐらい必要でしょうか。総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)平成29年平均速報結果の概要」では、単身無職世帯(60歳以上)の1ヶ月の支出は15万4742円で、実収入は11万4027円となっています。
自分でお金を準備しておかなければ生活を成り立たせられないことが分かるでしょう。年金額は、今後減っていくと考えられるため、将来的にはよりもっと多くの金額が必要になります。そのためには、現在の貯蓄計画で十分でしょうか。具体的な数字をあげて、見直してみてください。次に考えたいのが、保険の見直しです。結婚せずに生涯一人で生きていく場合、生活におけるリスクの分担ができないため、すべてを自分で負わなければなりません。そうなると、当然、病気で定期的な通院が必要になったり、休職せざるを得なくなったりしたときの備えが必要です。
この機会に、保険を「一人で生きていく」という観点から見直しておきましょう。高額な保障は必要ないかもしれませんが、病気になったときの保障は手厚いほうがよいことが分かります。また、病気やけがで働けなくなった場合に、給付金を受け取ることができる「給与サポート」がついていると安心です。「衣食住」の根幹となる住居についても、将来を考えて「購入するのか」「賃貸にするのか」を決めておくとよいでしょう。
・仕事が順調なので、今後も今生活している土地に住み続け、同じ仕事を続けたい
・近いうちに転職の可能性があるから賃貸で暮らしたい
・独身寮をそろそろ出なければならないなど
仕事や家庭の事情によって住む場所や住み方はさまざまです。賃貸で暮らすことを選んだ場合は、老後に借りられなくなるリスクを考えておきましょう。一方で、マイホームの購入を選んだ場合も、ローンの組み方をしっかりシミュレーションする必要があります。
結婚を諦めたとたん上手くいくケースがあるのはなぜ?
「結婚しない選択をしたら、急にモテ始めた」「結婚することを諦めたら、なぜかとんとん拍子で話が進んで結婚することになった」というケースがあります。「一生懸命婚活をしてもうまくいかなかったから結婚を諦めたのにどうしてなのか」と、とまどう人もいるかもしれません。では、一生懸命婚活をしていたときを思い出してみてください。以下のような行動をしていなかっったでしょうか。
・初めて会ったばかりの相手に、結婚を意識した発言をしていた
・自分をよく見せようとして、見栄を張ったり、普段と違うことをしたりしていた
・相手が自分の考える結婚相手と少しでも違うところがあると、失望した
結婚したい思いが強すぎると、知らず知らずのうちに態度にそうした思いが出てしまうものです。「ガッついてる」と思われるような態度もその1つでしょう。結婚せずに一人で生きていくことを決めたら、人は自然体に戻ります。異性の目が以前のように気にならなくなり、不必要に飾りすぎることがなくなるのです。相手に対して期待することもなくなるため、純粋に会話を楽しめるようになります。結婚せずに生きていくためのライフプランを具体的に考えていれば、お金や住居についての目途も立っているため、自立した人物だと相手は感じるはずです。
「結婚しない」と決めたことにより、肩から力が抜け、「結婚したい」と思われるような人になるということは、十分考えられます。飾らない自分を好きになってくれる相手との結婚なら、結婚後の生活もうまくいきそうです。
「結婚をしないこと」を前向きな決断にしよう!
結婚は一人でできるものではありません。そのため、結婚できない理由は自分一人だけにあるわけではないのです。結婚したいと願っていても、思い描いていた年齢を過ぎてしまったときには、いったん考えをリセットして、そこから将来の人生を描きなおしてみてはいかがでしょうか。結婚に対する執着心がなくなったことで、逆に結婚のチャンスが巡ってくることもあるでしょう。そうすれば、「結婚しない」という決断を後ろ向きではなく、前向きな決断にできるはずです。